2017年に介護関係で起きる10の変化
介護についてはこれから長く日本、いや世界の社会問題となります。そのため、常に制度が改善(場合によっては改悪)されていきます。2017年にはどんな変化があるのか、予想される10の介護にまつわる変化をまとめました。
背景となるのは、日本の人手不足です。とりわけ介護業界では2025年度には約38万人も人手が不足すると見込まれています。
1 介護職員の報酬月額1万円アップ
介護職員はまさに3K職場。せめて報酬は人並みかそれ以上でないととても人材確保はできません。4月から職員1人の月額報酬が1万円相当アップされます。(1万円あげる事業者に補助金)
2 55歳以上に特化した介護職業紹介
老老介護が話題ですが、介護職場での担い手に准高齢者も入らないと労働力の確保は難しくなっています。55歳以上の労働者を介護職に導くための施策に国が乗り出します。直接の介護サービスだけでなく、送迎や調理などの介護職場のロジスティックス部門に人をおくり、介護の専門職の負担をやわらげるのが狙いです。
すでに東京都大田区が2016年後半から独自にはじめています。
3 介護休業が分割して取得可能に
会社員は介護休業を1年に、介護の必要な家族1人について93日とれますが、これまでは連続でとる必要がありました。しかし、今年1月から3回まで分割してとれるようになりました。休業中の給付金も分割して受け取れます。
参考 厚労省のサイト(PDF)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/pdf/ikuji_h28_06.pdf
4 介護をしている従業員の残業免除を要請
また、1月からは家族の介護をしている従業員の残業を免除するよう会社が就業規則への明記するよう国が求める制度が始まりました。
参考 厚労省のガイドブック(PDF)の10ページ目にあります
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/pdf/ikuji_h27_12.pdf
5 外国人技能実習制度に介護も
農業や工場などの現場で事実上の安い賃金労働者として使われている外国人技能実習制度に「介護」が加わります。これまで以上に「技能を学ぶ」という建前ではなくなっていきますが、背に腹は代えられません。
6 外国人が訪問介護も可能に
2017年4月から、これまで認められていなかった外国人の介護労働者が訪問介護サービスでの従事も可能になります。首都圏の高齢者施設ではもはや欠かせない主にアジアからの介護労働者の働ける場所が広がります。
7 高収入現役世代の介護保険料はアップへ
8月から「総報酬割」制が導入され、高収入の会社員などは介護保険料がアップします。
8 高収入の高齢者の医療費上限引き上げ
受益者である高齢者の負担増は、選挙(現役世代よりも暇なので投票率が高い上に人口も多い)のために見送れがちです。しかし、社会保障は受益者の高齢者の利益だけ確保するとすぐに破綻する瀬戸際です。そのため、75歳以上の後期高齢者のうち所得がある程度ある高齢者の保険料軽減は段階的に縮小され、最終的には廃止されます。
9 75歳以上の認知症は免許停止や取り消し
高齢者による交通事故が社会問題化しています。いずれこの世をさる高齢者が未来のある子供たちを轢き殺す事故など、遺族はもちろん、本人にとっても無念でありましょう。3月から、75歳以上の高齢者が免許更新する際の検査で認知症の恐れと判定された場合、医療機関での診断が義務づけられます。医療機関で認知症と診断されると免許の停止や取り消しとなります。
10 年金受給が10年で可能に
介護には直接関係ないのですが、老人問題の根幹はやはり年金。年金が満足になければすぐに生活の質が落ちて、介護生活に転落して、さらに社会全体の負担は増える悪循環になります。年金は未納者がたくさんいるのが大きな問題です。25年納付しないと受給できないという優良サラリーマン(どんどん減っていく)しか難しい仕組みを直して、8月から納付期間10年に短縮し、受給できる人を増やします。
参考 読売新聞「安心の設計」(2017年1月8日)